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FAQ(よくある質問)

 

Q.自動車運転過失致死罪の過失の特定は?

刑事事件における交通事故、自動車運転過失致死罪などで検察官の主張する過失はどの程度特定されていればよいのかは争われた裁判例があります。

交通事故関係で刑事裁判を起こされた被告人としては、防御対象にも影響する問題となります。

東京高裁平成28年8月25日判決の紹介です。

 

事案の概要

被告人は、自動車運転過失致死罪(平成25年改正前の刑法211条2項)に問われました。

事故態様は、被告人が大型貨物自動車を運転。

交差点を左折。

被害者は、自転車で横断歩道ないし自転車横断帯上を進行してきた。

衝突。

被害者を路上に転倒させ、傷害を負わせて死亡させたというものです。

 

過失の内容は?

検察官は、起訴時点で、「交差点左折方向出口には横断歩道等が設けられていたのであるから、目視及びサイドミラ
ー等を注視するなどして、横断歩道等上を横断する自転車等の有無及びその安全を確認しつつ左折進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り、漫然時速約5kmで左折進行した」旨の過失を主張。これを訴因としていました。

被告人車両が左折する際に、被害自転車を確認することができた、死角の範囲外にいたという前提です。

 

しかし、裁判が進む中で、被害自転車が、被告人車両の死角の範囲内と範囲外の境界線上またはその付近にいたと認められるとして、訴因変更しました。

択一的な訴因となりました。

それまでの訴因の他、交差点左折方向出口には横断歩道等が設けられていた上、自車は左側方部に死角を有するため、横断歩道等上を横断する自転車等が死角内に存在することがあり得たのであるから、微発進と一時停止を繰り返すなどし、死角内の横断歩道等の上を横断する自転車等の有無及びその安全を確認しつつ左折進行すべき自動車運転上の注
意義務があるのにこれを怠り、漫然時速約5kmで左折進行した」旨の過失も択一的に記載したものです。

死角だった場合も確認すべきという主張です。

 

地方裁判所の判断

被告人車両が左折進行している間、被害自転車が被告人車両の死角の範囲内と範囲外の境界線付近にいたことまでは証拠上認定できるが、そのいずれにいたかを確定することは困難であるとしました。

そして、どちらにいたかで注意義務の内容が異なってくるとし、それぞれの場合に分けて注意義務の内容を検討。

罪となるべき事実として、2つの過失を択一的に認定、被告人に禁銅1年6月(執行猶予3年)の有罪判決としました。(横浜地方裁判所平成27・11・16判決)。

これに対し。被告人側は、判決の「罪となるべき事実」に、注意義務の発生根拠となる具体的事実が特定されておらず、2つの過失が択一的に認定されているとして、控訴。

 

 

東京高等裁判所の判断

破棄自判。

過失の択一的認定部分は、原判決を破棄。

過失を択一的に認定することは、過失の内容が特定されていないということにほかならず、罪となるべき事実の記載として不十分といわざるを得ないとしました。

これをより実質的に考慮すると、過失犯の構成要件はいわゆる開かれた構成要件であり、その適用に当たっては、注意義務の前提となる具体的事実関係、その事実関係における具体的注意義務その注意義務に違反した不作為を補充すべきものであるから、具体的な注意義務違反の内容が異なり、犯情的にも違いがあるのに、罪となるべき事実として、証
拠調べを経てもなお確信に達しなかった犯情の重い過失を認定するのは「疑わしきは被告人の利益に」の原則に照らして許されないと解されるとしています。

そして、原判決は、これらの2つの過失について、被告人車両が左折進行している間、被害自転車が被告人車両の死角
の範囲内と範囲外の境界線付近にいたことまでは証拠上認定できるが、そのいずれにいたかを確定することは困難であると説示しており、いずれの過失についても、確信に至っていないと解されるとしています。

にもかかわらず、犯情の重い過失をも認定しているのであるから、原判決は前記原則に反して違法というほかない。そうすると、その余について判断するまでもなく、過失を択一的に認定した原判決には理由不備の違法があり、破棄を免れないとして、破棄しました。


ただし、控訴審では予備的訴因が追加されています。

これにより、自車には目視及びサイドミラー等からは見えない死角があり、横断歩道等上を横断する自転車等が死角内に存在している可能性があったのであるから、微発進と一時停止を繰り返しながら目視及びサイドミラー等を注視するなどして、死角内から死角外に出てくる自転車等の有無及びその安全を確認しつつ左折進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り、漫然時速約5kmで左折進行したとの過失を認定。

結論としては、禁銅1年6月(執行猶予3年)の有罪判決としました。

 

 

択一的認定とは?

今回、問題にされた択一的認定というのは、裁判所が、2つのうちどちらかであることは確実で、そのほかの第三の可能性は否定できるのだけど、どちらか確定できない場合に、問題にされるものです。

刑事裁判では「疑わしきは被告人の利益に」の原則があります。

どちらか認定できないのに、択一的に認定したり、軽い方の事実を認定したりすることが許されるのかという問題です。

この問題については、考え方も裁判例も分かれています。

そのようななかで、今回の高裁判決は、過失を択一的に認定した原判決には理由不備の違法があるとしました。

最終的な量刑は変わっていませんが、検察官の主張する訴因における過失が特定されていないと、被告人としては、刑事裁判における防御方法が変わってしまうことになります。

 

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