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FAQ(よくある質問)

 

Q.所有権留保と譲渡担保の優劣は?

債権回収や倒産事件で、担保的機能がある所有権留保と譲渡担保のどちらが優先するのか争われるケースがあります。

今回は、そのような争いがあった事件での裁判所の判断を紹介します。

最高裁平成30年12月7日第二小法廷判決の紹介です。

 

事案の概要

平成22年3月10日、被告は、第三者に対して、金属スクラップ等を継続的に売却する継続的売買契約を締結。

売買商品の金属スクラップについて、引渡しは買主が被告の子会社から定期的に収集するものとされました。

売買代金は毎月20日締め、翌月10日に払うこととされました。

売買契約書上、売買の目的物の所有権は代金完済時に移転するとされていました。

ただ、被告は、金属スクラップ等の転売も承諾していました。

 

平成25年3月11日、原告と上記の買主は、買主が工場で保管する在庫商品等を目的とする集合動産譲渡担保権の設定契約を締結。
原告が買主に対して有すべき貸付金債権を被担保債権とするものでした。

この譲渡担保権については、動産債権譲渡特例法3条1項の登記もされています。

 

このような状況下で、買主は、被告らに事業を廃止すると通知。

被告は、買主の工場で保管されていた金属スクラップ等につき、動産引渡断行の仮処分申立。この決定を得て、平成27年1月20日、21日に引き揚げて第三者に売却。

原告は、この被告の引き揚げ・売却行為は、原告に対する不法行為または不当利得だとして、損害賠
償と不当利得返還を選択的に請求する訴えを提起。

被告は、所有権主張。

原告は、譲渡担保権主張という構成です。

 

原審までの判断

一審である東京地方裁判所は、請求を棄却。

原審の東京高等裁判所は、金属スクラップ等の一部は代金が完済されていたと認定し、未払い部分は一審と同様、被告に所有権が留保されているとして請求を棄却。

完済部分については所有権が移転しているのだから、原告の譲渡担保権は有効に成立し、引き揚げ・売却は不法行為になるとして、請求を一部認容。

原告が上告受理申立て。

 

最高裁判所の判断


上告棄却。

本件は、上告人が、被上告人に対し、金属スクラップ等の引揚げ及び売却が上告人に対する不法行為に当たるとして5000万円の損害賠償金及び遅延損害金の支払を請求し、選択的に、これによって被上告人が得た利益は不当利得に当たるとして同額の不当利得金の返還及び民法704条前段所定の利息の支払を請求する事案としています。

争点については、不法行為及び不当利得の成否に関して、本件動産につき、上告人が被上告人に対して本件譲渡担保権を主張することができるか否かが争われているとしています。

そのうえで、上告理由について、所論は、本件売買契約において、本件条項に基づき被上告人が本件動産の所有権を留保することは本件動産の所有権を被上告人から買主に移転させた上で買主が被上告人のために担保権を設定したものとみるべきであるにもかかわらず、本件動産につき、その所有権が被上告人から買主に移転しておらず、上告人が被上告人に対して本件譲渡担保権を主張することができないとした原審の判断には、法令解釈の誤り、判例違反がある旨をいうものだと認定しています。

 

上記事実関係等によれば、本件売買契約は、金属スクラップ等を反復継続して売却するものであり、本件条項は、その売買代金の支払を確保するために、目的物の所有権がその完済をもって被上告人から買主に移転し、その完済までは被上告人に留保される旨を定めたものであると認定。


本件売買契約では、毎月21日から翌月20日までを一つの期間として、期間ごとに納品された金属スクラップ等の売買代金の額が算定され、一つの期間に納品された金属スクラップ等の所有権は、上記の方法で額が算定された当該期間の売買代金の完済まで被上告人に留保されることが定められ、これと異なる期間の売買代金の支払を確保するために被上告人に留保されるものではないと売買契約の条項を解釈。

上記のような定めは、売買代金の額が期間ごとに算定される継続的な動産の売買契約において、目的物の引渡しからその完済までの間、その支払を確保する手段を売主に与えるものであって、その限度で目的物の所有権を留保するものであるとしています。


また、被上告人は、買主に対して金属スクラップ等の転売を包括的に承諾していたが、これは、被上告人が買主に本件売買契約の売買代金を支払うための資金を確保させる趣旨であると解され、このことをもって上記金属スクラップ等の所有権が買主に移転したとみることはできないとしました。


以上によれば、本件動産の所有権は、本件条項の定めどおり、その売買代金が完済されるまで被上告人から買主に移転しないものと解するのが相当としました。

したがって、本件動産につき、上告人は、被上告人に対して本件譲渡担保権を主張することができないと結論づけました。

 

 

動産所有権留保の法的構成

今回のような、所有権留保の対象物と第三者の優劣では、所有権留保をどのような法的構成で考えるかによって、変わってきます。

その名のとおり、所有権が留保されていると考えるのか、担保として考えるのかの違いです。

本判決では、所有権留保の法的構成については、何も触れず、売主に所有権が帰属するという理由で、集合動産譲渡担保権者よりも所有権留保者を優先するとしました。

今回のケースでは、売主は買主に、金属スクラップ等の転売を承諾していたという事情がありました。

この点については、代金支払いのための資金を確保させる趣旨に過ぎなかったとされます。

この転売の承諾は、買主に所有権を移転させたり、動産譲渡担保権の設定を認める趣旨までは含まれていなかったということです。

 

所有権留保と倒産

所有権留保については、破産や民事再生など倒産のシーンでも問題となります。

所有権留保は別除権とされ、対象物が自動車の場合、買主の倒産手続開始決定時に所有権留保者の登録がないと、破産管財人などに所有権留保を主張できないとしています。

なお、法定代位で売主から留保所有権を取得したときには、売主名義の登録でも良いとされています。

所有権留保と譲渡担保権の紛争では、倒産関係でも起きやすいものですので、自分の権利を主張する際には、整理しておく必要があるでしょう。

 

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