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FAQ(よくある質問)

 

Q.インサイダー取引の課徴金が取り消される場合とは?

インサイダー事件では、個人が刑事責任を問われる例が多いですが、それ以外に、企業に対する課徴金などの処分を争う事件もあります。

今回は、そのような争いが問題になった京地裁令和元年5月30日判決の紹介です。

 

事案の概要

インサイダー事件です。

投資運用会社のファンドマネージャーと、主幹事証券会社の従業員とのやりとりが、インサイダー規制に違反するかどうか、争われた事件。

 


まず、株式会社が、公募増資計画をしていました。

取締役会において、最短実施時期を同年8月下旬頃、目標調達額を400億円以上とする公募増資の計画を了承。

平成22年5月7日、証券会社に対し、公募増資の計画を説明、主幹事証券会社としての参加要請。証券会社はこれを了承。

 

会社は、平成22年8月24日の取締役会で、公募増資に係る新株発行を決議。

同日夕刻にこれを公表。

一般に、新株式の発行による増資をすると当該発行会社の株価が下がりやすいとされており、多くの投資家は増資前に当該会社の株式を売ろうとするため、公募増資の公表後は当該会社の株価が下落する傾向にあるとされている。

 

平成22年6月~7月頃には、市場関係者の間で、この会社の公募増資が、他の証券会社の主幹事証券会社として実施されるとの噂が流れていました。

噂の中では、公募増資は平成22年8月5日の決算発表とともに公表されるのではとされていました。

 

ここで、主幹事証券会社内の2人の言動、投資運用会社の1人の言動が問題になります。

 

問題とされた言動

 

1人は、セールストレーディング部に所属するA。

もう1人は、本件増資に携わる株式資本市場部(ECM)に所属するB。

BはAに対して、平成22年7月から8月の間、何回も、この会社の株の株式フロー取引状況を照会。

AはBと会ったときには、「会社のローンチ(公表)があるとしたら、その時期はいつかなあ」、「市場では、この日にローンチがあると噂されているけど、どうなの」などと聞いていました。

 

この訴訟の原告は、シンガポールに拠点を置く投資運用会社。

このファンドマネージャーとAとの間で、平成22年7月27日14時26分~27分に、この株に関するチャットでのやりとりがありました。

ここで、Aは、本件会社を特定したうえで、「今月。」「注目に値します」などの記載をしていました。

投資運用会社では、この後、発表まで、結構な空売りがされていました。


金融庁長官は、ファンドマネージャーが、Aから、その職務に関し知った重要事実の伝達を受け、この株を売付けたとして、金融商品取引法のインサイダー規定違反だと主張。

平成26年12月26日付けで、金商法185条の7第1項を理由に、投資運用会社に対し、課徴金804万円を国庫に納付するよう命ずる決定をしました。

投資運用会社がこれを争い、提訴。


主位的請求として、本件処分に係る決定が無効であることの確認を求めるとともに、予備的請求として、本件処分の取消しを求めました。

 

裁判所の判断

主位的請求は棄却。

予備的請求を認容。

 

まず、金商法のインサイダー規定の趣旨確認。

上場会社等と特別の関係にある者は、一般に、当該上場会社等の内部情報を一般投資家より早く、より詳細に知り得る立場にあることから、これらの者が、一般投資家の知り得ない内部情報を利用して当該上場会社等の有価証券等に係る売買取引をすることは、金融商品取引市場における公平性、公正性を害し、一般投資家の利益と金融商品取引市場に対する信頼を損なうことになります。

そこで、金商法は、いわゆる内部者取引を禁止し、その違反に対して行政罰である課徴金を課すこととするとともに、規制の明確性や予測可能性を確保する観点から、その禁止の対象となる内部者取引について、内部情報の流通形態ごとに類型化し、それぞれの類型につきその主体や禁止行為に該当するための要件を規定しているとしています。

 

担当外役員等が契約担当役員等とは別の経路から重要事実に関する何らかの情報を入手した場合において、金商法166条1項5号による取引制限の対象に当たるというためには、当該別経路による情報だけでは重要事実を知ったというのに十分でなかったものが、契約担当役員等との直接又は間接の職務上の関わり合いを通じて得られた情報(内部情報)を加えたことにより重要事実を知るに至ったと認められることが必要であり、例えば、別経路による情報は単なる推測や噂にとどまるものであったが、内部情報によりこれが確実なものであると裏付けられた場合などは、これに当たるものというべきであるとしました。

本件では、Aが公募増資に関する自らの推測や市場関係者の間における噂等の情報に加えて、契約担当役員等との直接又は間接の職務上の関わり合いを通じて得られた情報により、本件重要事実を知るに至ったとは認められないとしています。

 

また、仮にAが本件重要事実をその職務上知ったとしても、Aが本件チャット(またはその後の電話)によって、本件重要事実を丙に伝達したと認めることはできないとしました。


インサイダー情報による売買禁止

いわゆる金商法では、内部情報を取得した場合に、その会社の株を売買することを禁止しています。

今回問題になったのは、金商法166条1項4号と5号。

4号では、当該上場会社等と契約を締結したか、その交渉にあたる者が、当該契約の締結・交渉または履行によって当該重要事実を知った場合を規定。

5号は、4号により会社関係者となる者が属する法人の他の役員等が、その職務に関して当該重要事実を知った場合を規定。


本件では、公募増資の主幹事となった証券会社で、公募増資の担当であった株式市場部に勤務していたBが法166条1項4号に該当する者ではないか、この重要情報を直接は取り扱わない同じ会社のAが5号の会社関係者として「その者の職務に関し」て公募増資情報を知ったかどうかが争われました。

 

職務に関して知ったとは?

本件では、Aが、職務に関して知ったかどうかという点がポイントになります。

裁判例では、「複数の断片的な情報」を組み合わせ、重要事実の全体を認識した場合でも、5号の「知った」には該当しないとするものもあります。

本件では、「職務に関し」の要件について、契約担当役員等との直接又は間接の職務上の関わり合いを通じて得られた情報(内部情報)であることが必要としています。

また、「知った」の意義について、別経路から得られた情報が単なる推測や噂にとどまるものであったとしても、内部情報で、これが確実なものであると裏付けられた場合でも、「知った」に該当するとしています。

他の情報源からの推測に加えて、内部情報で確信的な情報に変わった場合には、要件を満たすという判断です。

定義的には、過去の裁判例よりも広いものと捉えているようです。

事案としては、情報伝達の事実認定を否定しているため、最終的には原告が救済される判決となっています。

 

 

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