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FAQ(よくある質問)

 

Q.アイドルがホテルに行ったら損害賠償義務がある?

芸能プロダクションに所属していた女性アイドルが男性ファンとホテルに行くなどして、損害賠償請求をされた事例です。

このようなアイドルの男女交際については裁判例の判断も分かれています。

東京地方裁判所平成27年9月18日判決です。


事案の概要

原告は2社。被告がアイドル(平成9年生まれ)です。

被告アイドルは、原告X1との間で、芸能活動に係る専属契約を締結した上で、メンバー6名のアイドルグループの一員として芸能活動を行っていました。

原告X2は、原告X1との間で、本件グループについてタレント共同運営契約を締結していた会社でした。

 

被告アイドルは、本件グループの一員として活動中に男性ファンとラブホテルに入るなど上記専属契約に違反する行為をしました。

これにより、本件グループを解散せざるを得なくなったとして、原告らが、被告アイドルに対しては債務不履行又は不法行為に基づき損害賠償請求、親権者にも請求した事件です。

 

専属契約の内容

被告アイドルとの間で交わされた専属契約書には、次のような条項がありました。

 

第二条 乙(注:被告アイドル)は、・・・甲(注:原告X1)の専属芸術家として甲の指示に従い、・・・下記活動(注:芸能活動)を行う。


第一〇条(2) 乙について以下のような事項が発覚した場合・・・本契約を解除して、甲は乙に損害の賠償を請求することが出来るものとする。
・ファンとの親密な交流・交際等が発覚した場合

さらに、本件専属契約締結の際、「アーティスト規約事項」が被告アイドルに交付されました。

そこには、次の定めがありました。


「三.私生活において、男友達と二人きりで遊ぶこと、写真を撮ること(プリクラ)を一切禁止致します。発覚した場合は即刻、芸能活動の中止及び解雇とします
CDリリースをしている場合、残っている商品を買い取って頂きます。
七.異性の交際は禁止致します。ファンやマスコミなどに交際が発覚してからでは取り返しのつかないことになります。(事務所、ユニットのメンバーなどに迷惑をかけてしまいます)」

 

アイドル売上の収支

被告アイドルを含むアイドルグループは六名の少女により構成。

デビュー後、ライブ等を行ったほか、レコーディング、ダンスレッスンなども行われ、オリジナルのTシャツなども作成されました。

活動期間における売上げは220万4000円、タレント報酬を差し引いた売上げが132万2400円でした。


他方、原告X1は、Tシャツの作成費用等として37万8000円を、原告X2は、レコーディング費用、ダンスレッスン費用、衣装代などとして71万9819円をそれぞれ支払いました。

 

 

ファンとの交際発覚

被告アイドルは、同年10月初旬頃、ファンと称する男性に誘われ、二人でラブホテルに入りました。

その男性は、ホテルの室内において、被告アイドルと二人でいる様子の写真を鏡越しに撮影。


この写真データは、ファンを経由して、本件グループのメンバーが入手。

原告らの知るところとなります。

原告らは、本件交際等を受けて、急遽本件グループを解散させました。

 

被告アイドルの交際は違法か

原告らは違法と主張。

専属契約及び本件規約に異性又はファンとの交際を禁じる旨が定められており、本件交際が交際禁止条項に違反していることは明らかであると主張。

交際禁止条項を含む本件契約等について、被告アイドルとは読み合わせをしていたのだから、被告アイドルは、交際禁止条項を知りながら、故意又は過失によりこれに違反し、原告X1の指示に従わずに本件交際に及んだことは明らかであるから、債務不履行責任及び不法行為責任を負うとの主張です。

 

これに対し、被告らは、本件規約について母親に被告アイドル名で署名押印をさせており、自らは署名押印をしていない、内容説明等を受けた記憶もないとして、契約責任を負っていないと反論。

また、本件契約等には交際禁止条項が含まれてはいたものの、原告らは本件グループのメンバーに対し交際禁止についての注意や確認をしておらず、また他のメンバーも異性との交際を行っていたにもかかわらず、被告アイドル以外は何らの処分を受けていないことから、交際禁止条項が死文化していたと主張しました。

このような事情を踏まえると、交際禁止条項は、異性との交際を真実禁止していたわけではなく、公知の事実にならなければ異性との交際は黙認されていたものと解されるから、本件交際が未だ世間に広く知れ渡っていない以上、本件規約にいう「発覚」には該当しないから、原告らに損害賠償請求権は発生していないと反論しました。

 

交際禁止条項に対する裁判所の判断

被告アイドルは、交際禁止条項につき十分な認識はなかったと主張しているものの、専属契約に自ら署名押印。交際禁止条項についても十分理解することが可能であったと認められるから、この主張は採用できないと排斥。


本件規約の内容の読み合わせをした事実も認定しました。

 

そして、交際禁止条項の解釈について、本件グループの他のメンバーらが作成した陳述書及び上申書等によれば、原告らが本件グループの活動開始にあたって、メンバーらに対して交際相手と別れるように通告し、交際相手がいたメンバー全員が交際相手と別れた旨の申告を行い、これを受けて原告らが本件グループを運営していた事実が認められるとしています。

交際禁止条項の死文化も否定。

本件規約七項は、ファンへの交際発覚を含む旨を明確に記載しているから、本件交際がファンや原告らに発覚したことが交際禁止条項の違反にあたることは明らかとしています。

 

条項違反であるとして、違法行為になるかの判断に続きます。


一般に、異性とホテルに行った行為自体が直ちに違法な行為とはならないことは、被告らが指摘するとおりであるとしています。

しかし、被告アイドルは当時本件契約等を締結してアイドルとして活動しており、本件交際が発覚するなどすれば本件グループの活動に影響が生じ、原告らに損害が生じうることは容易に認識可能であったと認めるのが相当であると指摘。そうすると、被告アイドルが本件交際に及んだ行為が、原告らに対する不法行為を構成することは明らかであると結論づけました。

 

損害額

原告らは、本件グループの活動に関して多額の経費を負担したところ、本件交際の発覚により本件グループは解散したため、予想利益を得られなくなり無価値となったのであるから、原告らは、少なくとも本件費用の全額について損害を受けたと主張しています。


しかし、被告らが指摘するとおり、本件費用は、本件グループの活動のために、本件交際の発覚前に支払われたものであることが明らかであり、これを直ちに原告らの損害と見ることは困難であるといわざるを得ないとしました


他方、原告らは、本件費用は本件グループから予想利益を得られなくなったことにより損害となった旨を主張しているところ、これは、逸失利益について主張しているものとも解されるから、この観点からも検討されました。

芸能プロダクションは、初期投資を行ってアイドルを媒体に露出させ、これにより人気を上昇させてチケットやグッズ等の売上げを伸ばし、そこから投資を回収するビジネスモデルを有していると認められるところ、本件においては、本件グループの解散により将来の売上げの回収が困難になったことが優に認められると指摘。


そして、本件グループがわずか約3か月の間に220万円以上に及ぶ本件売上げを上げたことなど、本件に顕れた一切の事情を考慮すると、原告らは、本件グループの解散がなければ、少なくとも、本件費用に相当する額の利益を得ることができたと認定するのが相当であるとしました。

 

なお、信用毀損による損害については、本件交際は広く世間に明らかになってはいないのであるから、本件グループの他のメンバーや他のアイドルユニットのイメージが毀損されたとの事実は認められないとして否定しています。

 

過失相殺

損害は出たものの、過失相殺による減額も争点となりました。

原告らは、本件規約の読み合わせを行ったものの、交際の発覚による損害賠償について具体的な額などを説明することはありませんでした。交際禁止条項について注意又は指導をしていたことなどは一切うかがわれないとも指摘しています。

交際禁止条項は、死文化していたとまでは認められないものの、原告らにおいてこれを本件グループメンバーに遵守させようと十分な指導監督をしていたとも認められないのであって、これは原告らが本件グループを運営管理するにあたっての過失にあたるというほかなく、この過失は被告花子による本件交際の一因であったと解するのが相当であるとしました。

その上で過失割合について検討すると、原告らが芸能プロダクションとして職業的にアイドルユニットを指導育成すべき立場にあることや、被告アイドルが当時未だ年若く多感な少女であったことなどを踏まえると、本件交際における過失割合は、原告らが四〇、被告アイドルが六〇とするのが相当であるとしています。

40パーセントの減額がされるという話です。

これにより、2社に対して合計約65万円の賠償義務が認定されています。

 

アイドルの男女交際による損害賠償義務については、否定する裁判例もありますが、本件は肯定、過失相殺による減額をしたという内容です。

 

 

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