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FAQ(よくある質問)

 

Q.サッカーでの事故の損害賠償は?

スポーツによる事故で損害賠償請求をする裁判も多いです。そのような場合、もともと危険がどれだけあるスポーツかによって判断が分かれます。

加害者の過失の有無や、違法性阻却、被害者の過失相殺などが争点になります。

 

社会人サッカーでの事例を紹介します。

東京地方裁判所平成28年12月26日判決です。


事案の概要

サッカーの社会人リーグにおける試合での事故でした。

原告が、相手チームに所属する被告選手から左脛部を蹴られたことにより、左下腿脛骨骨折、左下腿腓骨骨折の傷害を負ったと主張。

被告選手と同人を指導監督すべき相手チームの代表者に対し、共同不法行為責任として、損害賠償金を請求した事案です。

問題になったのは、東京都社会人4部リーグに所属するチーム同士の試合でした。

両チームは、平成24年6月9日、千葉市内のサッカー場において対戦。

 

試合の後半、原告は、蹴り出されたボールを右の太腿でトラップして手前に落とし、もう一度ボールを左足で蹴ろうとしたところ、そこに走り込んで来た被告選手が伸ばした左足の裏側と、原告の左脛部とが接触。


このプレーにより原告が倒れたため、試合は一時中断され、原告は千葉県済生会習志野病院に救急搬送されました。

なお、本件行為に対して審判によるファウル判定、警告及び退場処分はありませんでした。

 

 

被告選手の故意または過失

原告は、被告選手の行為は、原告に向かって走っていき、その勢いのままに、スパイクシューズを履いた足の裏を向けて突き出すというものであり、故意に原告の左脛部を蹴ったと推認されると主張。
仮に故意によるものでないとしても、スパイクシューズを履いた足の裏という危険な個所を原告の方に向けて突き出すことにより、原告が負傷する結果となることは容易に予見できたというべきであり、少なくとも過失があったことは明らかであると主張しました。


被告選手は、原告の足を蹴ろうとしたものではなく、原告が不完全にトラップして足下から離れたボールを蹴り出そうと左足を伸ばしたものだと反論しました。

裁判所は、衝突状況について、原告らがカウンター攻撃をしようとしていた、被告らがこれを防ごうとした状況であったと認定したうえで、細かく分析しました。

自陣前方中央付近にいた原告は、右サイドに移動してボールに追いついて右太腿でボールをトラップし、自身の体よりも1メートルほど前方にボールを落とすと、バウンドして膝の辺りの高さまで浮いたボールを左足で蹴ろうとして、軸足である右足を横向きにして踏み込み、左足を振り上げたと認定。
他方、被告選手は、カウンター攻撃を阻むべく、原告の方に走り込んでくると、その勢いを維持したまま、左膝を真っ直ぐに伸ばし、膝の辺りの高さまでつま先を振り上げるように突き出して、足の裏側を原告の下腿部の方に向ける体勢になったと認定
ボールは原告の左足が触れるよりもわずかに早く被告選手の左足の左側面付近に当たってはじき出されたものの、上記のとおり、被告選手が左足の裏側を原告の下腿部の方に向けて突き出していたため、振り上げた原告の左脛部がちょうど被告選手が伸ばした左足の裏側に入り込む位置関係になり、原告はその左脛部で被告選手の左足のスパイクシューズの裏側を勢いよく蹴り上げ、反対に、被告選手はその左足のスパイクシューズの裏側で原告の左脛部を下方に向けて勢いよく蹴りつけることになったと認定しました。


その結果、原告が左脛部に装着していたレガースが割れて脛骨及び腓骨が折れ、原告の左脛部がつま先側に湾曲するほどの力が加わったと認定。

 

このような状況から、裁判所は、被告選手の故意を否定。

もっとも、被告選手が原告のところまで走り込んでいった時点では、原告が先にボールに追いついてトラップし、次の動作に入ろうとしている状況にあった上に、原告が左足を振り上げる動作と、被告選手が左足を伸ばす動作とがほぼ同時に開始されていることからすると、被告選手は、トラップして手前に落ちたボールを原告が蹴り出そうと足を振り上げることは当然認識、予見していたはずであると指摘。


それにもかかわらず、被告選手は、走り込んで来た勢いを維持しながら、膝の辺りの高さまでつま先を振り上げるようにして、足の裏側を原告の下腿部の位置する方に向けて突き出しているのであって、そのような行為に及べば、具体的な接触部位や傷害の程度についてはともかく、スパイクシューズを履いている自身の足の裏が、ボールを蹴ろうとする原告の左足に接触し、原告に何らかの傷害を負わせることは十分に予見できたというべきであるとしました。


そうであれば、無理をして足を出すべきかどうかを見計らい、原告との接触を回避することも十分可能であったというべきであって、少なくとも被告選手に過失があったことは明らかであるとしました。

 

 

違法性が阻却されるか

被告らは、サッカーは、試合中に選手同士がボールの獲得をめぐり足と足を接触し合う局面が当然に予想されるスポーツであり、接触の結果、相手選手が怪我をする危険性が内在するのであるから、競技の過程で被害者が受傷したとしても、加害者が故意又は重大な過失によりルールに反したと認められるような特段の事情がない限り、被害者も当該危険を受忍したものとして、違法性を欠くというべきであると主張。


本件行為に対しては、審判による警告処分はもとより、ファウルの判定すらされていないことからしても、サッカー競技規則上反則であると判断されるものではなく、スポーツ競技の枠内の行為であると評価すべき行為であり、社会的相当性の範囲内の行為として違法性を欠くというべきであると主張しました。


原告は、一定の負傷は想定されているものではあるが、それはあくまでルールの範囲内のプレーにより負傷した場合であり、少なくとも重大なルール違反を伴うプレーにより負傷した場合をも許容するものではないと反論。
サッカー競技規則においては、相手競技者を蹴ったり、蹴ろうとする行為を、不用意に、無謀に、又は過剰な力で犯した場合には直接フリーキックが与えられるとされ、また相手競技者に対して過剰な力や粗暴な行為を加えた場合は著しく不正なファウルプレーに当たるとされているところ、本件行為は上記ルールに明らかに反する行為であり、軽微なルール違反ということはできないと主張しました。

 

裁判所は、確かに、サッカーは、ボールを蹴るなどして相手陣内まで運び、相手ゴールを奪った得点数を競うという競技であるから、試合中に、相手チームの選手との間で足を使ってボールを取り合うプレーも想定されているのであり、スパイクシューズを履いた足同士が接触し、これにより負傷する危険性が内在するものだと指摘。
そうであれば、サッカーの試合に出場する者は、このような危険を一定程度は引き受けた上で試合に出場しているということができるから、たとえ故意又は過失により相手チームの選手に負傷させる行為をしたとしても、そのような行為は、社会的相当性の範囲内の行為として違法性が否定される余地があるというべきであるとしました。


そして、社会的相当性の範囲内の行為か否かについては、当該加害行為の態様、方法が競技規則に照らして相当なものであったかどうかという点のみならず、競技において通常生じうる負傷の範囲にとどまるものであるかどうか、加害者の過失の程度などの諸要素を総合考慮して判断すべきであるとしました。

本件では、本件事故時点において主審によりファウルや反則行為との判定はされていないことから、これを当時に遡って競技規則に違反する行為であったということはできないとは認定。

 

しかしながら、被告選手は、原告がボールを蹴るために足を振り上げるであろうことを認識、予見していたにも関わらず、走ってきた勢いを維持しながら、膝の辺りの高さまで左足を振り上げるようにして、左足の裏側を原告の下腿部の位置する方に向ける行為に及んでおり、このような行為が原告に傷害を負わせる危険性の高い行為であることに疑いはないと指摘。


左下腿脛骨及び腓骨の骨折という重篤な結果が生じていることからしても、被告選手の本件行為は、原告が足を振り上げる力の方向とは反対方向に相当強い力を加えるものであったと推察されるとしました。

そうすると、そもそも本件行為のような態様で強引にボールに挑む必要があったのか否か甚だ疑問であり、競技規則12条に規定されている反則行為のうち、不用意、すなわち注意、配慮又は慎重さを欠いた状態で相手競技者を蹴る行為であるとか、相手競技者に飛びかかる行為であると判定され、あるいは著しく不正なファウルプレー、すなわちボールに挑むときに相手方競技者に対して過剰な力を加えたものであると判定され、退場処分が科されるということも考えられる行為であったと評価できるとしました。


そして、原告は、左下腿脛骨及び腓骨という下腿部の枢要部分を骨折した上に、入院手術及びその後長期間にわたるリハビリ通院を要するほどの傷害を負っているのであり、相手競技者と足が接触することによって、打撲や擦過傷などを負うことは通常ありえても、骨折により入院手術を余儀なくされるような傷害を負うことは、常識的に考えて、競技中に通常生じうる傷害結果とは到底認められないものであるとしました。


被告選手は、不用意にも足の裏側を原告に対して突き出すような態勢で挑んだために原告に傷害を負わせているのであって、故意までは認められないとしても、軽過失にとどまるものとはいえないとし、社会的相当性の範囲を超える行為であって、違法性は阻却されないと結論づけました。


損害額

一定期間の治療費の他、合計29日間の入院に加え、リハビリを中心とする合計64日間(通院期間としては451日)の通院、後遺障害診断がなされていること、被告選手が故意に原告を負傷させたとまでは認められないことなども考慮に入れるべきであるとし、170万円の慰謝料を認定。

また、病気休職により、平成24年9月から平成25年6月分までの給与及び賞与合計64万4220円が減額支給されたことから、同額を休業損害として認定。

原告が、本件事故により、特別区職員互助組合を通じて加入していた家族傷害保険の保険金として44万2800円を受け取ったことについて、本件事故による損害をてん補するものであるから、損害額から控除すべきであるとして、損益相殺されています。

損害額の約1割の22万円を弁護士費用として認定。

 


過失相殺

スポーツ事故では、過失相殺の主張もされるのが通常です。

本件でも、被告らは、本件事故及び受傷結果は、被告選手に遅れて原告がボールを蹴り出そうとしたことにより、原告の左足が被告選手の左足の裏側にたたきこまれてしまったことが原因で生じたものであり、原告のプレーに起因する割合が大きいと言わざるを得ないから、相応の過失相殺がなされるべきであると主張しました。


しかしながら、裁判所は、原告は、先にボールをトラップし、ボールを蹴り出すための動作を開始していた状況にあり、本件事故直前に原告が左足を振り上げる動作と、被告選手が左足を伸ばす動作とがほぼ同時に開始されていることからすると、原告の方が被告選手の動きを見てボールへの接触を控えるべきであったなどという状況にはないと指摘。

そうすると、原告が不注意にも自身の左足を出したがために本件事故が起きたなどということはできず、過失相殺を講じることが相当とはいえないとして、過失相殺は否定しました。

 

代表者の責任

相手チームの代表者への責任追及もされていましたが、こちらは否定。

社会人サッカーチームであり、代表であるがゆえに、当然にチーム内の個々の選手の試合中のプレーに関して一般的に指導、監督義務があるといえるものではないと指摘。
また、被告選手の本件行為について被告代表者が指示ないし命令をしたとか、日ごろ被告選手が本件行為のようなプレーを繰り返しており、本件も予測できたにも関わらず漫然と指導、監督を怠ったなど、本件行為に即した具体的な注意義務違反の主張立証がされているともいえないとして、否定しました。

 

過失の有無については、このように試合の状況などを細かく分析して認定されることが多いです。

 

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