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FAQ(よくある質問)

 

Q.親の消滅時効援用を子ができますか?

親の借金を、子に請求してくる人もいます。

法的には、別人であれば、保証人になってでもいない限り、借金の返済義務はありません。

しかし、昔の家制度のような形で、家族に責任追及をしてくる人もいます。

そのようなときに、親の借金が時効になっていることに気づき、消滅時効の援用をしたいという相談もあります。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.8.7

 

消滅時効とは?

消滅時効は、法律が決めた制度で、債権の内容によって、一定期間、返済をしていない場合に、その債権を支払わなくても良いとする制度です。

細かい内容は、債権の種類等によって変わりますが、2019年時点では、消費者金融、信販会社等、商法が適用される債権では、消滅時効期間は5年、普通の貸し借りだと10年とされています。

2020年施行予定の改正民法では、時効期間についても改正点がありますので、あわせてチェックしておいてください。

このように、決められた時効期間が、返済も請求も裁判もなく過ぎている場合には、時効期間が過ぎている可能性があります。

なお、債権者側では、消滅時効期間が過ぎないようにするためには、時効期間がすぎる前に裁判を起こしたり、債務者の承認を求めることが考えられます。

 

 

消滅時効の援用とは?

消滅時効制度は、時効期間がすぎれば勝手に払わなくてよくなるものではありません。

「消滅時効を援用する」という意思表示が必要になるのです。

援用の意思表示は口頭でも良いのですが、後で争われると問題なため、内容証明郵便等、書面でおこなっておくほうが無難です。

この援用をしていない場合には、法的には債務は残ったままです。

そのため、消滅時効期間が過ぎている債権でも、時効の援用をしていない場合、裁判を起こされることもあります。

裁判を起こされても、無視していると、債権者の言い分通りの判決が出てしまいます。

時効を援用さえしておけばよかったのに、それをしなかったために、遅延損害金まで含めて支払わなければならなくなってしまうのです。

 

親の消滅時効を援用できる?

さて、このような消滅時効ですが、親を含めて他人の消滅時効を援用できるかというと、それができないのが原則です。

時効の主張をするかどうかは、原則として本人の自由です。

親が時効の援用をしていないのに、子が勝手に援用することはできません。

これは弁護士等に頼んでも同じです。

表題の問題のように、親が時効の主張をしないために、代わりに払うよう求められているようなケースでは、そもそも、子には親の債務を支払う義務がないという法的な反論をしていくことになります。

 

時効の援用権者とは?

他人の消滅時効を援用できる人もいます。

民法145条により、時効は当事者が援用しなければならないとされています。

ここでいう「当事者」は、時効により直接利益を受ける者とされます。

たとえば、「抵当不動産の第三取得者」は、もし抵当権者の被担保債権が時効で消滅すれば、自分の不動産の担保が消えます。これは直接利益を受けるものとされるので、他人の債務であっても、消滅時効の援用ができるのです。

 

親が痴呆症等で時効の援用ができない場合には?

親に時効の援用をしてもらいたいものの、痴呆症等で、判断能力がない場合には、弁護士に依頼することもできません。

このような状態のときで、早急に時効の援用をしたい場合には、家庭裁判所に成年後見人等の選任申立をして、成年後見人に消滅時効を援用してもらう方法が考えられます。

成年後見人は、親の法定代理人という立場になり、時効の援用もできることになります。

 

相続後の時効援用

時効援用の手続をせずに、 親が死亡してしまった場合、子は相続人になります。

債務があるとして相続放棄する選択肢もありますが、財産があったり、債務は全て時効期間が経過しているような場合には、相続したうえで、相続人という立場で消滅時効を援用することもできます。

この場合は、他人の債務ではなく、相続して自分の債務になっているため、消滅時効の援用ができるのです。

 

 

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