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FAQ(よくある質問)

 

Q.交際相手によるカードの無断利用は?

男女間トラブルの相談で多いのが、クレジットカード、キャッシュカードの無断利用です。

交際相手、同棲相手などの財布からカードを持ち出して使ってしまう行為です。

家族間でもあるトラブルですね。

なお、家族間でも名義人以外のクレジットカード利用は規約違反とされます。使いたいなら家族カードなどの発行が必要でしょう。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.8.7

無断利用行為の違法性

クレジットカードの無断利用は、もちろん違法な行為となります。

どのような理論構成にするかによって罪名は変わってきますが、カードの持ち出しで窃盗罪、利用により詐欺罪が成立することが多いです。

刑事事件となることもあるわけです。

このような刑事事件では、被害者が警察に被害申告することから捜査は始まります。

カードの名義人が、無断利用に気づき、異議を述べるところから始まります。

カードの名義人が、無断利用についてカード会社に訴え、調査が始まると、刑事事件化することもあります。

カードの名義人が、カード会社に訴えず、自分の債務として支払うのであれば、刑事事件化はされないことが多いでしょう。

 

ただ、刑事事件は犯罪が成立するかどうかの問題です。これ以外に、違法な行為で損害を与えた場合には、損害賠償請求を受けることは当然です。こちらは民事の賠償義務の問題です。

 

 

カード会社による補償

カードの無断利用が発覚した場合、カード名義人は、通常、カード会社に連絡し、補償を求めます。

紛失・盗難によりクレジットカードを不正使用された場合、保険によって支払いが免除されることがあります。

これを使い、支払い義務を免れたいと申告するわけです。

この補償を受けるには、60日以内などの期限が決められているほか、カード名義人に重大な過失がないことが必要とされます。

たとえば、次のような場合には、重大な過失があるとして補償を受けられないことが多いです。
署名欄に署名なし
暗証番号メモと一緒に保管
生年月日、電話番号など他人から簡単に推測される暗証番号を設定
他人が簡単にカードを持ち出せるような保管

保険が使えないとなると、補償されず、名義人が支払い義務を負う可能性が高くなります。

名義人としては、カード会社を相手に裁判をし、免責されるはずだと争うこともあります。家族関係、保管状況によって免責が認められたケースもありますが、売ったが認められなかった場合には支払義務を負うことが確定します。

その場合、名義人としては、利用者に対して責任追及するでしょう。

この問題は、不正利用された金額の支払を、カード名義人が負うのか、カード会社側が負うのかという話になり、無断利用者はどこかからかは責任追及されることになるのです。

 

カード名義人と無断利用者の示談

交際相手、同棲相手による無断利用の場合、補償を受けられないことも多く、名義人が無断利用者である交際相手等に損害賠償請求をし、無断利用者に賠償をしてもらう、示談をするということが多いです。

無断利用者に資力がない場合、この賠償が分割払いになることも少なくありません。

その際の取り決めとしては、単なる貸付金や債務名目にするのではなく、しっかりと違法行為によるものであることを明記した書面にしておくべきでしょう。

カードの無断利用による損害賠償義務、窃盗行為によるカード持ち出し、無断使用による損害賠償義務のような記載をしておいた方が良いです。

なぜなら、このような無断利用をする人は、別に債務を負っていることも多く、自己破産をされることもあるからです。自己破産により免責許可が出た場合、通常の貸付金では支払義務がなくなります。

自己破産をしても、支払い義務が残る債権を非免責債権と呼びますが、このなかに、悪意による不法行為の損害賠償請求権が含まれます。

自己破産をした場合には、財産がなくなっている可能性は高いですが、法的に支払義務を残すためには、この悪意による不法行為であることを証拠化しておく必要があるのです。

 

カード名義人による違法行為

カードを無断利用された怒りから、無断利用者に対して、行き過ぎた取り立て等がされることもあります。

無断利用自体は違法行為ですが、その損害賠償請求をする際に、やりすぎた行為をしてしまうと、逆に違法行為になってしまいます。

やりがちな言動として、取り立ての際に脅迫・暴行をしたり、性的関係の強要、相手の職場・親族への名誉毀損行為などがあります。

こちらも民事上の違法行為になるだけでなく、刑事事件化することもありますので、ご注意ください。

 

 

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