FAQ
FAQ(よくある質問)
Q.婚姻費用を避けるため離婚だけ先にできないか?
妻と離婚予定で別居中、婚姻費用請求があり、毎月婚姻費用を払うのが面倒なので、離婚を先にしてしまい、慰謝料、財産分与、親権、面会交流等の交渉は離婚後にまとめてできないかとの相談もあります。
婚姻費用について、経済的に負担だという人から、このように支払手続が面倒という人までいます。
親権者の指定は必須
まず、離婚の成立までは、婚姻費用の支払い義務があります。
そのため、離婚の成立を早めたいというのが、支払い義務者側の考えになります。
離婚だけを先に進めて、他の問題は後からにしたいと希望する夫も多いです。
ただ、離婚時に、必ず決めておかなければならない内容もあります。
親権者の指定です。
離婚時には、親権者を決定しなければならないので、親権交渉は離婚後にはできません。
離婚を成立させるためには、親権者を決めなければならず、離婚を急ぐためここで妥協して相手に譲った場合、これを変更するのは大変です。
制度上は、親権者の変更手続もありますが、どのような事情の変更により親権者を変更しなければならないのかという点を厳しくチェックされます。
家庭裁判所は、子供の養育上、親権者を頻繁に変えることに抵抗があり、ゼロから親権者を決めるよりも、変更は遥かにハードルが上がります。
財産分与等は後からでも
慰謝料、財産分与、面会交流については、法的に離婚後の交渉で決めることも許されています。
実際に、協議離婚で、離婚届けだけを出して、その後の金銭問題は後から決めるという人もいます。
慰謝料や財産分与については、それぞれ時効があるので、その間に取り決めができれば問題はないです。
ただ、このような協議離婚を成立させるには、相手の同意が必要です。
相手が弁護士に依頼しているような場合には、関連問題も同時に解決することを望むことがほとんどです。
現実的には財産分与等の諸問題も同時に交渉することになるでしょう。
財産分与の時効は2年
財産分与の請求は民法第768条に2年の除斥期間が決められています。
離婚後2年以内に請求しなければ権利が消滅してしまうのです。
この期間は、離婚届が役所に受理され、離婚が成立時からスタートします。
別居期間等は関係ありません。
別居後、2年以上過ぎていても、離婚成立時から2年以内ならば請求できます。
時効という言葉を使いましたが、厳密には、除斥期間というものになります。
時効制度の場合は所定の手続きによって、時効期間をリセットしたり、止めることができます。また、相手が消滅時効を援用しなければ時効の効果は発生しません。
これに対し、除斥期間は、権利の有無を確定する不変期間とされるため、リセットしたり止めたりできません。
財産分与の2年間は除斥期間とされています。
年金分割の時効
離婚時に取り決めることが多い年金分割制度も期限があります。
これは、将来もらえる年金を分割する制度です。すぐに現金が手に入るわけではないので軽視しがちですが、期限をすぎると手続きができなくなるので注意してください。
年金事務所などで所定の手続きが必要です。
財産分与と同じく、離婚した日の翌日から起算して2年をすぎると、請求できなくなります。
通常は、財産分与の中で話し合うものです。
離婚慰謝料の時効は3年
離婚の慰謝料請求は、離婚後でも3年間はできます。
こちらは時効の制度になります。
離婚したこと自体の精神的苦痛についての慰謝料については、離婚したときから3年間は請求できるとされます。
離婚原因となった不貞等の違法行為から3年が過ぎていても、離婚から3年以内であれば、離婚慰謝料を元配偶者に対しては請求できるとされています。
3年以内に、裁判を起こすなどすることで、時効は止まります。
離婚時の清算条項
離婚成立時に、合意書を作ることもあるかと思います。
この合意の際に、清算条項を入れると、あとから金銭請求できなくなりますので、ご注意ください。
清算条項は、和解をするときに使われるもので、要は、これで終わりです、他に請求はしません、という条項です。
「当事者は、本和解条項のほか、お互いに債権債務がないことを確認する」
「当事者は、本件離婚に関して本条項をもって解決したものとし、今後は財産分与、慰謝料など名目如何を問わず、互いに何らの請求をしない。」
このような条項です。
これがあると、金銭問題は解決したものとみなされ、その後に財産分与や慰謝料の請求はできなくなりますので、ご注意ください。
離婚をとにかく急ぎたいという場合、相手がこのような条項を示してくる可能性がありますので、しっかり確認するようにしましょう。
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