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FAQ(よくある質問)

 

Q.債権回収後の受任通知、偏頗弁済になる?

債権回収の際に、偏頗弁済を気にする人も多いです。

偏頗弁済とされた場合、債権回収行為の意味がなくなってしまうことから、気にするのも当然でしょう。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.8.7

偏頗弁済とは

偏頗弁済は、主に自己破産をした場合に問題になる制度です。

自己破産手続では、債権者間の公平が重視され、抜け駆け的な債権回収を否定し、公平な配当をしようという考えがあります。

その趣旨で作られたのが否認権の制度です。

自己破産手続で裁判所から選ばれた破産管財人には、否認権という権利があります。

これは、自己破産をした人の行為を否定できる制度です。

そのうちの1つに偏頗行為否認があります。

この偏頗行為否認の中に「破産者が支払不能等の後にした偏頗行為の否認」という内容が含まれています。

偏頗弁済となると、破産管財人から否認権を使われ、債権回収をした効果が否定されりリスクがあるのです。

 

 

偏頗弁済の条文は?

否認権について、破産法162条が規定しています。

 

次に掲げる行為(既存の債務についてされた担保の供与又は債務の消滅に関する行為に限る。)は,破産手続開始後,破産財団のために否認することができる。

破産者が支払不能になった後又は破産手続開始の申立てがあった後にした行為。ただし,債権者が,その行為の当時,次のイ又はロに掲げる区分に応じ,それぞれ当該イ又はロに定める事実を知っていた場合に限る。

イ 当該行為が支払不能になった後にされたものである場合

支払不能であったこと又は支払の停止があったこと。

 

破産申立の後に弁済を受けると、これは厳しいのですが、あまり多くはありません。

問題になりやすいのは、支払不能になった後の弁済です。

この場合、否認権を行使できる要件としては、弁済を受ける債権者が「支払不能であったこと又は支払の停止があったこと」だと知っていることが必要とされます。

 

 

 

支払不能

この偏波弁済の否認の制度では、客観的な要件と主観的な要件があります。

客観的要件として、対象になった弁済がされた時点で、破産者が支払不能にあること。

主観的要件として、弁済がされた時点で、債権者が支払不能や支払停止だと知っていたこと。

これらが揃わなければなりません。

まず、前提として、客観的に支払不能だったと認められなければなりません。

当時の破産者の債務状況、財産状況、収支状況が問題視されます。

会社であれば、経営状況が問題になってきます。現在の財産状況だけではなく、信用等があれば、将来の収益により支払不能ではないと認定されることもあります。

支払不能については、債務について一般的かつ継続的に弁済できない状態をいうとされているところ、この判断には、破産者の事業実態から弁済できるだけの利益が出せるかどうか等の要素が重視されます(東京地裁平成25年2月14日判決等)。

会社の支払不能の判断の際には、決算書の形式的な数字だけではなく、その収入が本業収入なのか等、細かい費目も確認が必要になります。

 

後に弁護士に依頼したのであれば、相談した時期がいつだったかなどが問題にされることも多いです。

 

 

債権者の認識

客観的に支払不能だったとしても、債権者が支払不能や支払停止を認識していなければなりません。

 

この点について、一般的には、債権者が破産者の内情について把握できることは少なく、弁護士からの受任通知等で認識することが多いです。

そのため、債権回収行為が受任通知の前後かどうかで偏頗弁済として否認されるかどうか変わる事が多いです。

 

一般の債権者ではなく、破産者と身近な人については、別に規定があります。

身近な人は、破産者の情報を知りやすく、偏頗弁済を受けやすいことから、認識の要件については推定されるという規定があります。

破産法の規定で、このような身近な人とは、次の場合を指すとされています。

① 破産者が法人である場合のその理事,取締役,執行役,監事,監査役,清算人又はこれらに準ずる者
② 破産者が法人である場合にその破産者について次のイからハまでに掲げる者のいずれかに該当する者
イ 破産者である株式会社の総株主の議決権の過半数を有する者
ロ 破産者である株式会社の総株主の議決権の過半数を子株式会社又は親法人及び子株式会社が有する場合における当該親法人
ハ 株式会社以外の法人が破産者である場合におけるイ又はロに掲げる者に準ずる者
③ 破産者の親族又は同居者

破産者が法人ではなく、個人の場合には、親族や同居者という人が当てはまります。

 

このような身近な人については、客観的な支払不能状態での弁済を受けると、支払不能や支払停止を知っていたものとみなす扱いがされます。

推定規定なので、反論は可能ですが、自分が知らなかったことを立証しなければならなくなるのです。

また、同様に、義務でない弁済等を受けた場合(非義務行為)も推定規定があります。

 

支払停止とは?

債権者の主観的要件にだけ出てきている支払停止とは、支払不能とは違う概念です。

判例によれば、支払停止とは、債務者が、支払能力を欠くために一般的かつ継続的に債務の支払いをすることができないと考えて、その旨を明示的又は黙示的に外部に表示する行為をいうとされています。

外部に表示という点を捉えて、弁護士からの受任通知などがここに含まれるとされています。

事業者の場合、手形の不渡りや営業の停止も含まれます。

 

第三者による弁済と偏頗弁済否認

否認されるのは、破産者の行為ですので、第三者が肩代わりして資金を提供して弁済するなどした場合には、否認の対象外となります。

もっとも、保証人等の義務がない第三者への貸金返還請求、たとえば親や家族に代わりに払えと迫る行為については、それ自体が違法になる可能性もありますので、ご注意ください。

 

 

 

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