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FAQ(よくある質問)

 

Q.共有不動産と自己破産、競売の関係は?

不動産をお持ちの方が自己破産をする場合、この処分が問題になります。

不動産について、単独で所有している以外に、共有の場合の手続きや、競売、固定資産税など関連問題について解説しておきます。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2024.10.28

 

自己破産による共有不動産の処理は?

自己破産手続きは、財産を処分して借金の返済をする制度です。

不動産を持っている場合には、これも処分することになります。

基本的には、裁判所から選ばれた破産管財人が任意売却を進めます。

また、その不動産に抵当権や根抵当権が設定されている場合、担保の行使は破産手続き中でもできるので、抵当権の実行により競売になることも多いです。

不動産を単独で所有している場合には、このような処理が進められます。

これに対し、共有不動産の場合は微妙です。

共有者は、全体の不動産を処分できず、共有持分しか処分できません。

共有者の破産管財人も、全体の不動産を処分することはできなくなります。

共有持分にしか抵当権が設定されていない場合には、全体の不動産を競売にかけることもできません。

 

共有者による買取は?

共有不動産の場合、共有者が破産者の共有持分を買い取りたいということがあります。

この場合、金額は何が基準となるのでしょうか。

共有持分の買取の場合、売却するのは破産管財人です。

土地建物の買取を行う場合、査定額をベースとして交渉します。

そこから、共有持分として減価することが多いです。

共有持分だけで処分することは難しく、全体の査定価格を単純に持ち分で割り振った場合よりも低く評価するという話です。

そこに、買取希望者の資金力などの要素を考慮して判断することが多いです。

まず、破産管財人が売却の適否について判断し、破産裁判所の許可を求めるという流れになります。

あまりにも低い金額の場合は、管財人判断によりますが、共有者との共同売却を持ちかけてくることもあります。2人で、全体の不動産を売却して、代金を持ち分に従って分けようという提案です。

共有者はこれに応じる義務はありません。

状況によっては、共有持分のみ処分するという方法もありえます。

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共有物分割請求

共有持分の処理について話が進まない場合、破産管財人は、破産手続きを進める必要があります。

交渉が決裂してしまっているような場合には、共有物分割請求をしてくる可能性が高いです。

調停や訴訟によって、共有物の共有持分をお金に換える方法として事実上使われている手続きです。

共有物の分割方法も色々あるのですが、全体を競売にして持ち分で代金を分けろという請求も可能です。

共有物分割請求の調停や裁判では、共有者の意向が無視されることはなく、意向確認はされます。

共有者が買い取りたいと言っているのに、一方的に競売になる可能性は低いです。

この手続の中で、買取価格を決めていく流れになります。

金額がシビアなケースでは、査定だけではなく、鑑定までされることもあります。

 

破産管財人が当事者の場合には、一般的な共有物分割請求訴訟ほど感情的な対立になっていることは少なく、最終的には和解による解決となることが多いと思います。

 

債権者からの不動産の差押があったら?

次に、共有不動産ではない場合の不動産競売手続きについて解説します。

破産手続きが始まる前に、債権者から全体不動産の差押えを受けた場合、その配当の順番はどのようになるのでしょうか。

 

不動産競売の場合、競落代金は抵当権順に抵当権者に配当した後、差押等をした一般債権者に債権額に応じて案分します。

抵当権には順位があります。登記簿謄本、全部事項証明書の「乙区」に記載されています。

競売費用を控除した後、そこの第一順位の抵当権者が優先、その債務が完済されても余力があれば、第二順位・・・と続きます。

その後、他の一般債権者が手続きに不参加であれば、差押えをした債権者が残代金を取得できます。

破産開始決定の後は、管財人が通常は任意売却を試みますが最終的に競落となると、抵当権者への配当後残代金を管財人が取得し、金額にはよるものの破産手続き内で配当します。

 

 

不動産売却と固定資産税は?

任意売却、共有物分割請求による譲渡、競売のいずれの場合でも、所有権や共有持分の移転がされることになります。

不動産を所有・共有している場合、固定資産税の負担が発生しています。

所有権や共有持分を譲渡した場合、この負担がなくなります。

 

ただ、年末に建物の売買契約をし明け渡したようなケースですと、固定資産税納税通知書が届くこともあります。

固定資産税は、固定資産課税台帳に従って課税されます。

こちらの基準日が1月1日となります。

年末などの売買の場合、登記変更に時間がかかり、基準日までに名義が変更されていないこともあります。

 

役所からの固定資産税納税通知書が届くような場合には、名義が変更されていないようなので、自治体へ確認や相談をしましょう。

任意売却や共有物分割請求後の和解による譲渡など不動産取引においては、一般的に固定資産税の精算条項があります。日割り精算などもされることが多いです。

この場合、契約に従って、新所有者へ支払いを求めることもできることもありますので、契約書を確認してください。

 


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