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FAQ(よくある質問)

 

Q.店舗外観を模倣されたら?

店舗外観を模倣されたとして差止め請求がされた事件を紹介します。

東京地裁平成28年12月19日決定の紹介です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.8.7

 

事案の概要

「コメダ珈琲店」の喫茶店事業を展開していた株式会社が債権者になった事件です。

コメダ珈琲店は全国展開しているコーヒーチェーン店です。

店舗の多くは郊外型店舗です。

問題になったのは和歌山県内。

当時、和歌山県内に「コメダ珈琲店」の郊外型店舗は4店舗、展開されていました。

債務者は、和歌山市内で喫茶店を開業。

 

債権者は、この店舗が「コメダ珈琲店」外観に類似しているとして、使用差止めを求めました。

「コメダ珈琲店」の郊外型店舗には、共通したり、典型的に用いている店舗外観(外装や店内構造および内装)があり、これは、不正競争防止法上の「商品等表示」に該当すると主張、債務者が自分の店舗でこれを用いることは不正競争防止法2条1項1号または同2号に該当すると主張しました。

不正競争防止法3条1項の差止請求権を被保全権利として、この外観使用の差止めを求める仮処分命令を申し立てたという経緯です。

 

裁判所の判断

裁判所は、コメダの請求を認め、差止めを認めました。

要件として、コメダ外観の周知性、類似性、混同のおそれなどを満たすことを認定しました。

 

店舗外観は不正競争防止法の「商品等表示」に該当する?

店舗の外観(店舗の外装、店内構造及び内装)は、通常それ自体は営業主体を識別させること(営業の出所の表示)を目的として選択されるものではありません。

ただ、店舗の外観が客観的に他の同種店舗の外観とは異なる顕著な特徴を有しており、当該外観が特定の事業者(その包括承継人を含む。)によって継続的・独占的に使用された期間の長さや、当該外観を含む営業の態様等に関する宣伝の状況などに照らし、需要者において当該外観を有する店舗における営業が特定の事業者の出所を表示するものとして広く認識されるに至ったと認められる場合には、店舗の外観全体が、不正競争防止法の「商品等表示」に該当すると認定しました。

 

外観表示の一体性は?

コメダの外観表示は、特徴が組み合わさることによって1つの店舗建物の外観としての一体性が観念でき、統一的な視覚的印象を形成しているということができるとしています。

そして、これら多数の特徴が全て組み合わさった外観は、建築技術上の機能や効用のみから採用されたものとは到底いえず、むしろ、コメダ珈琲店の標準的な郊外型店舗の店舗イメージとして、来店客が家庭のリビングルームのようにくつろげる柔らかい空間というイメージを具現することを目して選択されたものといえるとしました。


このような特徴を兼ね備えた外観は、客観的に他の同種店舗の外観とは異なる顕著な特徴を有しているということができるとしました。

 

外観表示を保護する弊害は?

このような外観表示は、装飾的な要素を多分に含んだ表示で、需要者に広く認識されていた、限定が付され条件が幾重にも絞られていることなどから、店舗外観の独占による弊害は極めて小さいとしました。

弊害も小さいので、保護の対象とすることが相当でないということはできないとしています。

 

類似性の判断は?

コメダの外観が保護されるとして、債務者の店舗との類似性については、どのように判断されたのでしょうか。


ライン飾り(化粧板)の形状及びデザイン、出窓レンガ壁部の形状及び模様、屋根・壁・窓等の位置関係及び色調、店内のボックス席の配置及び半円アーチ状縁飾り付きパーティションの形状など余りに多くの視覚的特徴が同一又は類似しているとし、全体として酷似していることは明らかとしました。

このような類似性が多いことから、店舗名が違っても、全体として類似していると判断しました。

 

建物外観と商品等表示

この決定は、店舗の外観(内外装と店内構造)を不正競争防止法の「商品等表示」として保護した初めての裁判例です。

これまで商品等表示として保護されてきたのは、文字列や図形の組合せなどの標章でした。

これは、商品や営業を識別する趣旨からするとわかりやすいものです。

今回のような店舗外観となると、たまたま一致してしまうこともあり、類似性の判断が難しくなります。

 

店舗外観ではなく、商品形態が似ているということで問題になる裁判例はありました。

そのような裁判では、商品形態の特徴が顕著であり、その商品に周知性があることが要件とされていました。

はっきりと分かり、有名であることで保護されてきたものです。

今回の決定でも、店舗外観について、似たような基準で判断しています。

 

主張のポイント

店舗外観の保護を検討する際、特定の営業のためには不可避な店舗外観については、商品等表示性が否定されることになります。これを保護してしまうと、たとえば郊外型喫茶店のような営業自体ができなくなってしまいます。

差止めを求める側としては、不可避ではない、という主張をすることになります。

そこで、具体的に特定して主張していく必要が出てきます。

抽象的に似ているという主張ではなく、どの部分がどのように似ているのかを複数挙げて主張していく必要があります。

判決では、別紙として類似点が引用されていますが、コメダ側は相当具体的に表示部分を特定しています。

ありふれた形態だとされてしまうと、独占性は認められません。

独占性で問題がないように配慮した主張といえるでしょう。

 

 

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