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FAQ(よくある質問)

 

Q.損害賠償請求の代位時の遅延損害金は?

損害賠償請求の代位があった場合の遅延損害金については争いがあります。

公的制度による代位でも理論的に問題になります。

今回は医療保険関係の代位で遅延損害金の起算日が問題になった最高裁令和元年9月6日第二小法廷判決の紹介です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2022.10.27

事案の概要

交通事故が発生しました。

被害者は、歩行中に被告が運転する普通乗用自動車に衝突されて傷害を負いました。

この治療に際して、後期高齢者医療広域連合である原告が、後期高齢者医療給付。

原告は、被害者の被告に対する損害賠償請求権を代位取得。

医療給付額と、事故日から支払済みまでの遅延損害金の支払を求めました。

 

ここで、遅延損害金の起算日が問題となりました。

高等裁判所では、遅延損害金の起算日につき、損害賠償金の支払を請求したことが明らかな訴状送達の日の翌日であると判断しました。

そこで、原告が、上告受理申立。

 

 

最高裁判所の判断

一部破棄差戻し、一部棄却しました。

結論としては、代位時点からの遅延損害金の請求のみを認めています。

求償権遅延損害金


不法行為に基づく損害賠償債務は、損害の発生と同時に、何らの催告を要することなく、遅滞に陥ります。

交通事故の損害賠償請求では、被害者は加害者に対して、事故日からの遅延損害金を請求することが認められています。

 

後期高齢者医療広域連合は、後期高齢者医療給付の給付事由が第三者の行為によって生じた場合において、後期高齢者医療給付を行ったときは、法58条により、その価額の限度において、被保険者が当該第三者に対して有する損害賠償請求権を代位取得し、当該損害賠償請求権は、後期高齢者医療給付の都度、当然に当該後期高齢者医療広域連合に移転するものであるとしました。

もっとも、上記の場合において行われる後期高齢者医療給付は、被保険者が被る損害の元本を填補する性格を有するものであり、損害の元本に対する遅延損害金を填補するものではないと解されることからすると、当該後期高齢者医療
広域連合は、当該後期高齢者医療給付の価額の限度において被保険者の第三者に対する損害金元本の支払請求権を代位取得するものであって、損害金元本に対する遅延損害金の支払請求権を代位取得するものではないというべきであるとしています。


そうすると、後期高齢者医療給付を行った後期高齢者医療広域連合は、その給付事由が第三者の不法行為によって生じた場合、当該第三者に対し、当該後期高齢者医療給付により代位取得した当該不法行為に基づく損害賠償請求権に係る債務について、当該後期高齢者医療給付が行われた日の翌日からの遅延損害金の支払を求めることができるというべきであると判断しました。


損害賠償請求と遅延損害金

まず、被害者本人から加害者に対して、不法行為に基づく損害賠償請求をする場合、損害の発生と同時に、遅滞に陥ります。催告は必要ありません。

 

そのため、事故日からの遅延損害金を請求して訴訟提起するのが通常です。

遅延損害金制度比較

 

損益相殺と遅延損害金

損益相殺という制度があります。

被害者が不法行為によって損害を受けた同じ事実によって、別の理由で利益を受けた場合に、その利益を損害から控除する制度です。

社会保険の給付などが問題にされます。

最高裁は、かつて自賠責保険を受けた場合の損益相殺の計算方法として、損害の遅延損害金から充当するとしていました。

この場合、保険金受領までの遅延損害金を請求できることになります。

しかし、最高裁は、遺族補償年金について、損益相殺的な調整がなされた部分について遅延損害金を否定しました。

これは、年金給付について、そのてん補の対象となる損害は不法行為の時にてん補されたものと法的に評価すべきであることが理由とされます。

そもそも、損害が生じなかったという理論です。

本件では、年金ではなく、医療給付です。同じような公的な制度という点から、給付部分について、被害者に損害が発生していない、すなわち遅延損害金も発生しないという理論もありえます。

 

相続や人身傷害保険の遅延損害金は?

被害者の相続人から加害者へ損害賠償請求をした事件で、代位した保険会社の債権について、代位しても、相続人に残る加害者への損害賠償請求権については、保険金支払日の翌日から遅延損害金が発生することを前提に計算された裁判例があります。

 

このような理論からすると、代位する保険者は、元本を代位していると考えることになります。

原審では、請求時から遅延損害金が発生するという理論をとっています。

これは、保険者の取得した債権が、期限の定めのない債権と同質ということになります。

しかし、最高裁は、これを否定しています。代位する請求権は、催告しなくても遅滞になるという、不法行為の損害賠償請求権の性質をもつことを前提にしています。

代位者が債権を取得するのは代位時点です。

遅延損害金は、元本に付随すると考えられ、そうであれば、事故時からの遅延損害金の請求もできそうです。

しかし、人身傷害保険の場合などでは、事故日から保険金支払までの遅延損害金は被害者や相続人が請求しうるのであって、代位者が取得するものではないとされています。そのため、元本に付随しないものといえます。

ただ、医療給付の場合の遅延損害金は、被害者も請求できないとされます。

このような過去の判例の理論から、本判決では、代位時点からの遅延損害金の発生としたものです。

 

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