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FAQ(よくある質問)

 

Q.遺産分割後に死後認知があった場合は?

遺産分割協議をする際には、誰が相続人かを確定します。そのうえで、全相続人の参加で遺産分割協議を成立させます。

しかし、あとから、相続人が増えることがあります。それが死後認知です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.8.7

これは、遺産分割協議時には戸籍から判明しないため、どうしても避けられません。

このような死後認知があると、新たに誕生した相続人から請求されることがあります。

その場合の計算方法が問題になることもあります。

最高裁令和元年8月27日第三小法廷判決の紹介です。


この判決については動画でも解説しています。

事案の概要

死後認知により、遺産分割が問題になったケースです。

父、母、嫡出子という家族がいました。


平成20年2月に、父が死亡して相続。

翌月には、母と嫡出子が遺産分割協議を成立。

積極財産の合計は約9941万円。

消極財産(債務)は約1400万円。

積極財産から、4600万円相当分の財産を嫡出子が相続する、消極財産は母が承継するという内容でした。


その後、嫡出でない子が、検察官を被告として、死後認知を求める訴えを提起。認知判決が確定します。

この子が原告となります。

平成27年、原告は、母と嫡出子に対して、自身の法定相続分である4分の1に相当する価額の支払を求めました。

ここで、「価額」の算定に相続債務を含めて良いかが問題になりました。

原告が嫡出子を被告として提訴。

原審までの判断

第1審の東京地裁は、価額の算定に当たって考慮される財産は、遺産分割の対象となる積極財産に限られるとして、相続債務の控除は認めず、単純に約9941万円の4分の1に相当する約2485万円の支払を命じました。

二審の東京高裁も同様の判断。

被告が上告受理申し立て。

最高裁判所の判断

上告棄却。


民法910条の規定は、相続の開始後に認知された者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしていたときには、当該分割等の効力を維持しつつ認知された者に価額の支払請求を認めることによって、他の共同相続人と認知された者との利害の調整を図るものであると、趣旨の確認をしました。

そうすると、同条に基づき支払われるべき価額は、当該分割等の対象とされた遺産の価額を基礎として算定するのが、当事者間の衡平の観点から相当であるとしています。

そして、遺産の分割は、遺産のうち積極財産のみを対象とするものであって、消極財産である相続債務は、認知された者を含む各共同相続人に当然に承継され、遺産の分割の対象とならないものであるという点を確認。


以上によれば、相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既に当該遺産の分割をしていたときは、民法910条に基づき支払われるべき価額の算定の基礎となる遺産の価額は、当該分割の対象とされた積極財産の価額であると解するのが相当であるとしました。

さらに、このことは、相続債務が他の共同相続人によって弁済された場合や、他の共同相続人間において相続債務の負担に関する合意がされた場合であっても、異なるものではないとしています。

民法910条の価額と債務

910条の価額支払請求があった場合に、債務を控除できるかどうかは、考え方が分かれていました。

そのようななかで、本件の判断は、債務は控除できないという結論を採用したものです。


この価額支払請求がされる流れとしては、まず、相続開始後に死後認知訴訟が提起されます。

この訴訟で、認知を認容する判決が出て、それが確定することによって、子は価額支払請求権の行使ができます。

通常、このような請求がされるまで、相続開始から数年はかかります。

その間に、相続について遺産分割協議の成立や、相続財産の処分がされてしまうことも多く、そのような場合の精算の規定です。


この価額の算定基準をいつでするかという基準時については、価額の支払を請求した時とされています。

債務の相続

借金など、消極財産の相続については、被相続人の一身に専属しない限り、相続人に分割承継されます。

本件では、1400万円の金銭債務が問題にされています。

これは、一身専属ではなく、相続人に分割承継されます。

債権者は、各相続人に対し、法定相続分に分割承継された分を請求します。

このように、当然に分割承継されることを前提とすると、遺産分割の対象にはならず、価額請求の際にも、控除できないという結論に結びつきやすいです。

相続債務の精算方法

上記のとおり、死後認知には時間がかかるのが通常です。

この死後認知がされる前に、相続債務が弁済されているようなことも想定されます。

このような弁済があった場合の精算については、弁済者が認知された子に対して、不当利得返還請求をすることになります。

認知された子も相続債務を承継します。それを代わりに弁済していることになるので、不当利得返還請求ができます。

価額支払請求に対して、弁済分を相殺することで精算できることになります。


未払いの場合も、遺産分割協議で負担者が決まっているのであれば、いずれ精算の問題が出てくるので、そもそも請求から控除したいというのが原告の考えでしたが、これは認められなかったということになります。


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