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FAQ(よくある質問)

 

Q.子の面会交流が一切否定されるケースとは?

 

離婚に関連し、子との面会交流の調停、審判事件も多いです。

面会交流というと、通常は、月1回などと決めて親子が直接会うことをイメージするかと思います。

このような直接的な面会が否定されることもあります。そのような場合、写真の送付、メール、郵便などの間接的な交流を促されることが多いです。

しかし、そのような間接交流すら否定されるケースもあります。

大阪高等裁判所平成30年10月11日決定の紹介です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.8.7

事案の概要

申立人・抗告人父(昭和38年生)と相手方母(昭和43年生)は、平成元年に婚姻。

3人の子がいましたが、問題となるのは一番上の子(平成3年生、平成5年生、平成19年生)。

抗告人は、平成27年5月、多発性脳梗塞を発症。

第1種身体障がい者1級の認定を受けました。

体幹及び左上肢と右手指の各機能に障がいがあるものの、日常生活では、衣食と入浴は自立。電動カートを利用して1人で買い物に出かけることができる状態でした。

抗告人は、相手方や子に対し、日常的に暴力を繰り返しました。

その方法、態様も、包丁や模造刀等を振り回す、手拳で何度も殴打するなどといったものでした。

 

平成29年5月、暴力行為に耐えかね、妻子は家を出て別居状態。

母は、暴行等について、平成29年6月、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(いわゆるDV防止法)に基づき保護命令の発布を受けました。

抗告人は、相手方に対し、平成29年7月、子との面会交流を求める調停を申し立てたが、平成30年3月、不成立。

審判に移行。

 

家庭裁判所の判断

面会交流の申立てを却下しました。

家庭裁判所調査官は、未成年者と、面接(面接当時、未成年者は10歳)。

その際、未成年者は、調査官に対し、平成28年9月ころに申立人に裸にされ、同年11月には、申立人から包丁を突き付けられたり、土下座させられたりし、また、殺すぞと言われたりし、11月ころ、申立人に、はさみを突き付けられ、平成29年4月29日、申立人に、模造刀で「どついたるぞ-」と脅されたなどと暴力等について述べ、さらに、一番嫌であったことについて、平成29年5月12日、申立人から首筋や頭を20発ぐらい殴られたことであると述べていました。


また、未成年者は、申立人との面会交流について、申立人に会うのは絶対嫌であり、申立人に対して「無理。却下。諦めろ」と言いたいと述べた上、申立人に対し、動画を送ることは拒否し、写真については、未成年者の居所がわからない写真であれば、年に2回程度送付することは構わないと述べました。

 

調停委員会は、申立人の提案を受け入れて、申立人と未成年者の試行的面会交流を、裁判所の家族面接室を利用して行うこととしました。しかし、未成年者は、「裁判所で、みんなが見ていて、父ちゃんが暴力を振るわず、怒り出すことはないようにするといわれても、いや。顔を見るのがいや。(父ちゃんと)一緒の部屋にいることはできない。」と述べて、試行面会交流を拒否。


さらに、未成年者は、(前回、申立人に写真を送ることは構わないと述べたことに関し、)「顔を見せることがいや、いやな人に顔を見せることはできない。」と述べ、申立人に対し、写真を送付すること自体を拒否し、さらに、調査官が、未成年者に対し、相手方が未成年者に隠れて写真を送ったらどうするとの問いかけに対し、「そんなことはないと思う。そんなことをしたら母ちゃんも信じられへん。」と返答。

 

このような事情を考慮し、間接交流すらも否定しました。


非監護親と未成年者との面会交流は、子が監護親のみならず非監護親からの愛情を確認する機会でもあり、これにより子の健全な成長に資するという意義を有するものであるとしました。従って、非監護親を子と面会交流させることによって子の利益を害するなど特段の事情のない限り、面会交流を実施するのが相当であるとしています。

そこで、上記面会交流を禁止すべき特段の事情の有無について検討することとなります。

 

面会交流を禁止すべき特段の事情


前記認定によれば、未成年者の申立人に対する恐怖心は、相当強いといわなければならないと指摘。

そして、未成年者は、申立人の暴力について、自らの経験に基づき具体的に述べた上で、申立人との面会交流を拒否しているところ、この意向は、大変強固なものであるということができるとしています。

未成年者は、上記意向に至った理由として、申立人の暴力等を挙げているが、これは、自らが経験した事実に基づいていると考えられ、その内容も、特に不自然な部分はなく、了解可能なものであると指摘。

未成年者が相手方に監護養育されており、申立人とは申立人と相手方とが別居状態となった後一度も会っておらず、相手方の何らかの影響を受けていることが否定できないとしても、未成年者の年齢からして、自己の置かれた状況を把握し、自らの環境に関する希望を述べる能力をある程度備えていると考えられることに鑑みれば、上記意向は、その内容を理解した上で表明したものと考えるのが相当であるとしました。


そして、未成年者が、申立人に対し、否定的な感情を抱いたまま成長することは好ましいことではないが、現状において、未成年者の意向は上記のとおりであり、このような意向のまま、申立人と面会交流することはかえって、申立人に対する否定的な感情をさらに強化しかねず、未成年者の健全な成長に支障を来すと考えられ、そうだとすると、面会交流を禁止すべき特段の事情があるというべきであり、当面申立人との面会交流は差し控えられるべきであるとしました。


また、前記認定によれば、相手方が、申立人に対し、写真を送ることを認めることも相当ではないとしています。

申立人が抗告。

 

高等裁判所の判断

抗告を棄却するとの結論です。

家庭裁判所の判断を指示するものでした。

抗告人は、平成27年5月28日発症の多発性脳梗塞により、体幹機能障がい(起立困難)、左上肢機能著しい陣がい及び右手指機能軽度障がいなどにより、第1種身体障がい者1級と認定されており、未成年者を裸にしたり、未成年者を追
いかけたり、庖丁やはさみを突きつけることは不可能であるから、未成年者が述べるような暴力の事実はなかった旨主張しました。

しかし、抗告人自身、未成年者の首の付け根あたりを叩いたことや模造刀を示したことを認めており、移動時に杖等を利用しているのであるから、抗告人が未成年者を殴ることや包丁やはさみや等を突きつけることは可能であったと認め
られるとしています。

また、抗告人は、電動シニアカーを利用して買い物に行くことができ、リハビリテーションで握力も一定程度回復していたのであるから、幼少の未成年者に一定の行為を強いたり、裸にさせたりすることも可能であったと考えられるとしています。

暴力はなかったとの抗告人の主張は採用できないと結論づけています。

 

抗告人は、調査官との面接における未成年者の抗告人に対する否定的な発言は母親の影響下でされたものであり、未成年者の本心から出たものではないと主張していました。

しかし、抗告人の暴力等に関する未成年者の発言が信用できることは既に説示したとおりであると指摘。

また、未成年者は、調査官への説明のために絵を描くなど、言語表現が苦手なことから種々の工夫をして、自己の意思等について具体的に述べており、その内容も不自然なものとはいえないから、未成年者が相手方の影響により本心と異なる陳述をしていたとはいえないとしました。

高裁でも、間接交流すら認めないという判断となりました。

 

非監護親にとっては厳しい判断ですが、認定事実によればDV、虐待といえる内容であり、やむを得ないのかもしれません。

 

 

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