マンション駐車場使用料の値上げと弁護士費用の請求が認められた裁判例。横浜市の法律事務所

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FAQ(よくある質問)

 

Q.マンション駐車場使用料の値上げは有効?

マンションの駐車場使用料を増額したところ、一部の居住者が争い、管理組合が決議の有効性、使用料の差額を求めて裁判を起こした事例です。

決議は有効、値上げも認めた判決となっています。

東京地方裁判所平成28年9月15日判決です。

マンションの法律問題

事案の概要

原告は、マンション管理組合。

組合員が被告。被告は複数います。

本件マンションの一階部分に本件駐車場が設置されていました。

各被告が、それぞれ使用していました。

平成23年12月11日に開催された原告の第三八期第二回臨時総会において、従前月額1500円であった本件駐車場の維持管理費を、区画番号No.1については月額2万3250円、区画番号No.3については月額2万5950円、区画番号No.6については月額1万2720円に増額する旨の第二号議案を承認する決議がされました。

大幅値上げですね。

原告は、平成23年12月下旬頃、被告らに対し、本件増額決議により平成24年1月分以降の駐車場専用使用料が増額された旨を伝えましたが、増額分は払われず、従前の額が供託される事態に。

供託は、支払金額などに争いがあり、受領されないときに払ったものとするために使う制度です。

立体駐車場

 

マンションの管理規約

本件マンションの管理規約では、以下の規定がありました。

(61条1項)
組合員は、第235条に定める管理費等及び第29条に定める使用料について、翌月分を当月末日までに管理組合に支払うものとし、中間利息については精算しないものとする。

(68条3項)
区分所有者等がこの規約若しくは使用細則等に違反したとき、または区分所有者等若しくは区分所有者等以外の第三者が敷地及び共用部分等において不法行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経て、次の措置を講ずることができる。
1 行為の差止め、排除または原状回復のための必要な措置の請求に関し、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行すること
2 敷地及び共用部分等について生じた損害賠償金または不当利得による返還金の請求または受領に関し、区分所有者のために、訴訟において原告または被告となること、その他法的措置をとること

(68条4項)
前項の訴えを提起する場合、理事長は、請求の相手方に対し、違約金としての弁護士費用及び差止め等の諸費用を請求することができる。

 


マンション駐車場利用の経緯

本件マンションの分譲契約締結に当たり、販売会社は、本件駐車場の専用使用権について、屋内部分は1台120万円、屋外部分は1台80万円で分譲していました。

その際、上記分譲部分の面積に応じた必要経費(固定資産税、都市計画税等)は、購入者が原告に納入することとされました。

本件駐車場については、平成8年頃までは使用料等の金銭の支払はされていませんでした。その頃に行われた総会において、専用使用料を徴収すること及びその額は当面は月額100円とすることが決議され、以降はこれに従って支払がされてきました。その後に、専用使用料を月額1500円に増額する旨の総会決議がありました。

今回の増額については、議決権総数59個の過半数である37個の賛成により、本件増額決議が承認となっています。

総会決議

 

駐車場使用料の値上げ決議は有効かが争点

主な争点は、総会決議が有効かどうかでした。

原告は、本件駐車場の専用使用権は区分所有者全員の共有に属するマンション敷地の使用に関する権利であるから、規約又は集会決議をもって、専用使用権者の承諾を得ることなく使用料を増額することができると主張。

月額1500円では固定資産税等の公租公課の支払にも足りない状態でした。

本件増額決議後の本件駐車場の専用使用料は、近隣駐車場よりも低額に設定されていると主張。

本件駐車場の地盤や設備の老朽化に伴い、将来において維持管理及び大規模修繕に要する費用が高額となることが見込まれる点も主張しています。

原告は、被告らは本件増額決議までに約42年間にわたり本件駐車場を利用しており、賃料の一括前払いの性質を有する専用使用権の購入費用は十分に還元されていたというべきであると主張しました。

 

被告は、本件増額決議は、既得権を侵害し、社会通念上不相当であって、無効なものというべきであると反論。

本件駐車場については当初の分譲時点でも120万円という高額の対価が支払われていると主張。

マンションの管理費及び修繕積立金は敷地全体に対して支払われるものであるから、本件駐車場についての管理費及び修繕積立金を請求することは二重請求に当たるとも主張しました。

 

裁判所は、駐車場使用料の値上げを認める判断

裁判所は管理組合の請求を認めました

 

裁判所は、本件マンション分譲契約時の売買対象として本件駐車場は含まれていないと判断。

その後の譲渡等の場面においても所有権ではなく専用使用権の移転として取り扱われてきたことがうかがわれると指摘。

また、本件駐車場の各専用部分は区分所有法一条所定の区分所有権の目的となり得るものではなく、これについての被告らの権利は、区分所有者全員の共有に属するマンション敷地を排他的に使用することができる債権的権利であると解するのが相当であり、分譲後は、管理組合と組合員たる専用使用権者との関係においては、法の規定の下で規約及び集会決議による団体的規制に服し、管理組合は法の定める手続要件に従い、規約又は集会決議をもって、専用使用権者の承諾を得ることなく使用料を増額することができるものと解されるとしました。

立体駐車場

駐車場使用料増額が認められるポイント5選

そして、当該区分所有関係における諸事情、例えば、
①当初の専用使用権分譲における対価の額、その額とマンション本体の価格との関係、
②分譲当時の近隣における類似の駐車場の使用料、その現在までの推移、
③この間のマンション駐車場の敷地の価格及び公租公課の変動、
④専用使用権者がマンション駐車場を使用してきた期間、
⑤マンション駐車場の維持・管理に要する費用等
を総合的に考慮して、増額の必要性及び合理性が認められ、かつ、増額された使用料が当該区分所有関係において社会通念上相当な額であると認められる場合には、専用使用権者は使用料の増額を受忍すべきであり、このような場合は使用料の増額に関する規約の設定、変更等は専用使用権者の権利に「特別の影響」(区分所有法三一条一項後段)を及ぼすものでなく、同項所定の区分所有者の承諾は必要ないものと解される(最判平成10年10月30日)と最高裁の判断基準を確認しています。

 

裁判所は値上げ額も合理的と判断

そこで、本件増額決議に係る増額の必要性及び合理性並びに増額された使用料が社会通念上相当な額と認められるか否かにつき検討されていきます。

被告らは、専用使用権に基づき本件駐車場を使用しているところ、各期間における相当賃料額を6000円として算定しても、使用期間に相当賃料額を乗じた額は、専用使用権設定時に支払われた対価の額を明らかに上回っていると指摘。

本件駐車場が本件マンションの一階部分に所在し、建物敷地と一体的に使用されている状況等に照らせば、共有部分のうち本件駐車場については専用使用権者らのみが管理費・修繕積立金を負担し、その余の部分については区分所有者全員が専有面積に応じて負担するとする原告主張の算定方法は相応の合理性を有するものというべきであり、これが二重負担を課すものであるとする被告の主張には理由がないとしました。


また、本件駐車場については日常的な点検の他、塗装作業や漏水部分への対応作業等が行われていることが認められました。

上記作業には今後も継続的に費用支出が見込まれ、かつ、本件マンションの老朽化に伴い支出額の増大も見込まれることなどの事情に加え、近隣駐車場の相場や、被告らが当初支払対価に応じた使用利益を十分に得ていると考えられることなども考慮すれば、屋内部分については月額1万円、屋外部分については月額5000円の維持管理費を加算することは、社会通念上の相当性を逸脱するものではないというべきであると指摘。

立体駐車場

結論として、本件増額決議に係る増額については、必要性及び合理性があり、かつ、増額された使用料も社会通念上相当な額であったと認められるから、同決議は被告らの承諾を要することなく有効であり、平成24年1月分以降はこれに沿った専用使用料増額の効果が発生したものと認められるとしました。

 

裁判の弁護士費用が争点

裁判で認められる金額も争点となりました。

原告は、総会決議による変更金額を主張。

また、管理規約により、原告は被告らに対して訴えを提起する場合、違約金としての弁護士費用等の諸費用を請求することができるとされているから、本件訴訟提起のために原告が支出した弁護士費用は21万6000円の支払い義務があることも主張。

被告らは、本件増額決議は無効であるから、被告らが原告の主張するような債務を負うことはないと反論。

 

裁判所は弁護士費用の負担も肯定

裁判所は弁護士費用も被告らに負担させました。

本件マンションの管理規約によれば、原告は被告らに対して訴えを提起する場合、違約金としての弁護士費用等の諸費用を請求することができるとされるところ、原告は本件訴訟提起のために少なくとも21万6000円の弁護士費用を支出したことが認められるとし、被告らの支払義務をそのまま認めました。

原告の被告らに対する請求は同一の総会決議の有効性に関するものであることからすれば、被告らは上記金額について連帯して支払義務を負うものと解するのが相当であるとしました。

 

マンションにおける駐車場使用料の増額

本件のように、取得時に相当の対価を払っていても、増額されることはあります。

そうであれば、取得時に対価がない単なる使用契約しかないようなマンションでは、駐車場使用料の増額はより認められる可能性が高くなります。

マンション購入時には、駐車場の使用料金を安く設定し、購入者を集めやすくすることも行われています。

しかし、機械式駐車場だったりすると、メンテナンス費用が高額となり、これを管理費や修繕積立金から支払っていくと、相当の負担になることも少なくありません。

そのようなマンションでは、実態に合わせて、駐車場使用料の値上げがされる動きが出てきます。

機械式駐車場の維持コストはすさまじく、大規模修繕でも問題になります。

最近は、機械式駐車場を手放すマンションも出てきています。

これからマンションを購入する人は、このような動きも押さえておくべきでしょう。

 

 

マンション問題等では参考にしてみてください。

 

 

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