FAQ
FAQ(よくある質問)
Q.新型コロナ減収の債務整理ガイドラインの債務整理開始申出とは?
自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインを新型コロナウイルスによる収入減でも使う特則が、2020年12月1日より適用が開始されています。
基本的な手続きについては、ジン法律事務所弁護士法人の債務整理サイトで解説しています。
関連 Q.新型コロナ減収の債務整理ガイドラインの債権者と要件は?
Q.新型コロナ減収の債務整理ガイドラインの登録支援専門家とは?
今回は、この手続のうち債務整理開始申出について解説していきます。
債務整理開始申出とは?
被害者の債務整理ガイドラインでは、着手申出、登録支援専門家の委嘱の後、債務整理開始申出をします。
手続上は、ここで初めて支払を止めることができます。
債務整理申出は、全ての対象債権者に対して申出書を提出します。
この債務整理の申出と同時、または申出をしたら直ちに、いろいろな書類を提出することになります。
たとえば、住民票の写し、陳述書と収入を示す書類、すなわち給与明細書、源泉徴収票、市県民税課税証明書の写し等です。
また、財産を示す書類として、財産目録を提出し、預貯金通帳や明細、保険証券、解約返戻金証明書、保有株式の明細等の書類を添付することになります。
負債状況を示す書類として、債権者一覧表を提出。
さらに、家計収支表を2か月分提出します。事業者の場合には、直近6ヶ月の事業収支実績表を提出します。
自己破産や個人再生の申立と同じような書類を準備する必要があるといえます。
新型コロナ収入減を示す書類
さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により、収入が減ったことで支払不能や近い将来に支払不能になるという点も資料を提出することになります。
この点の詳しい情報は陳述書に記載します。
そのうえで、現在の収入と比較し、過去の収入、売上に関する資料も提出します。
この観点から、源泉徴収票や市県民税課税証明書は最近2年分を提出、通帳などで、通常時の収入と減収時を比較できるように提出することになります。
失職したような場合には、解雇通知書や離職票、失業保険の申請書に関する書類、勤務先の倒産に関する通知、破産決定などを提出することになるでしょう。
また、基準時である2020年2月1日時点の借入の返済額が分かる資料を準備することも求められるでしょう。
個人事業主の場合には、給料明細にかえて、売上台帳や現金出納帳等の帳簿書類を出すことになるでしょう。
持続化給付金や、新型コロナウイルスに関する融資を受けている場合には、その資料を活用することも考えられます。
債務整理申出の陳述書って何を書くの?
上記のとおり、債務整理申出においては、陳述書を提出します。
所定の書式がありますので、登録支援専門家と協力のうえ、作成していくことになります。
記載内容としては、職業・収入の状況、減収によって払えなくなった事情や、基準時である2020年2月1日以前に期限の利益喪失事由がないかなどとなります。
自己破産手続きで支払不能に至る事情を記載するのと似ています。
債務整理申出と支払の一時停止
手続上、支払を止められるのは、債務整理申出後です。
一時停止では、債務者による一定の財産処分も、対象債権者への返済も禁止されます。
これにより、ガイドラインの債務整理を円滑に進めようとするわけです。
倒産手続きと同じような効力です。住宅ローン条項の例外も、個人再生と似ています。
住宅資金特別条項を含む調停条項案の作成を検討している場合に限り、一時停止期間中でも、住宅ローンの約定返済を続けることができます。この場合には、全ての対象債権者に対し、その旨を通知、対象債権者が合理的な理由を示せば 10営業日は異議を出す事ができます。
この一時停止の効果は、債権者が債務整理申し出を受け取った時点から始まります。
債務整理申出に対する債権者の異議
債務整理申出を受けた対象債権者が、債務整理手続に異議を述べることもできます。
ただし、異議の事由は限られています。
債権者が異議を出す場合、事前に登録支援専門家と協議したうえで、対象債務者、登録支援専門家、債権者一覧表の全債権者に対して、異議理由を明記した書面を発送します。
異議理由としては、
対象債務者が、要件を満たさないことが明らかであると認められる場合
対象債務者が一時停止の期間中における義務に違反したことが判明した場合
必要書類に明らかな不備があるにもかかわらず相当な期間内に補正されない場合
に限られます。
基準日以前に期限の利益を喪失するような延滞実績があったりする場合だと説明されます。
必要書類の不備については、債務整理の申出の翌日から起算して45日以内に異議を述べることが必要だとされています。
債務整理申出の取り下げ
債務整理の申出については、取り下げも可能です。
たとえば、収入が増えるなど、状況が変わり、債務の全てを弁済することができるようになった場合などは、手続の必要はなくなります。
そのような場合、債務整理の申出を取り下げる旨を、全ての対象債権者と登録支援専門家に書面で通知します。
ガイドラインに基づく債務整理はこの書面の発送日に終了することとなります。
支払を止めていた一時停止の効力も停止となります。
債務整理ガイドラインと代位弁済
一時停止の期間中は、弁済が禁止されています。
また、対象債権者は相殺等の行為も禁止されます。
ただ、このタイミングで、税金の預金差押などがされる事態もあります。
このような場合には、相殺が禁止されるものではないとされます。
また、一時停止の期間中でも、保証会社等の代位弁済は認められています。
代位弁済時の相殺も禁止されていないとされています。
そのため、債務者としては、預金取引をしている銀行等が債権者になる場合には、債務整理申出までにメイバンク機能の移転や預金残高の調整などが必要になってくるでしょう。これも自己破産や個人再生の受任通知時の対応と同じです。
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