FAQ
FAQ(よくある質問)
Q.新型コロナ減収の債務整理ガイドラインの調停条項案とは?
自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインを新型コロナウイルスによる収入減でも使う特則が、2020年12月1日より適用が開始されています。これは特定調停を使った手続になります。
そこで、今回は特定調停における調停条項案について解説します。
基本的な手続きについては、ジン法律事務所弁護士法人の債務整理サイトで解説しています。
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調停条項案の提出時期
被害者の債務整理ガイドラインでは、債務者は債権者に対して調停条考案を提出します。
この期限は、債務整理申出から3ヶ月とされています。事業を維持する個人事業主の場合は4ヶ月とされています。
ただし、対象債務者は、必要があるときは、全ての対象債権者に対して、調停条項案の提出期限の延長が必要である理由を記載した通知をすることで、3か月を超えない範囲内で延長できるともされています。
調停条項案の提出期限の延長に伴い、債務整理の申出から6か月以内に特定調停を申立てられないような場合には、全ての対象債権者との間で合意し、特定の日を債務整理の終了日として定めることもできます。
調停条項案が提出期限を過ぎても提出されないときは、対象債権者から対象債務者に提出要請することになります。
通常は、登録支援専門家に対して要請することになるでしょう。
それでも調停条項案が提出されないと、債務整理の申出から6か月で、債務整理は終了していしまいます。
保有資産処分での弁済条項
ガイドラインを利用する調停条項では、何パターンかがあります。
たとえば、自由財産を超える保有資産を処分するなどして弁済する方法があります。
また、将来の収入で返済する個人再生のような条項もありえます。
将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みのある債務者であっても、将来の収入で返済しなければならないものではなく、保有する全ての資産を処分・換価して弁済したり、処分・換価の代わりに「公正な価額」に相当する額を弁済したりして、その余の債務について免除を受けるという調停条項を作成することはできます。
弁済条項と20万円債権者基準
保有する資産を換価・処分して弁済するタイプの調停条項案があります。
ここで、「20万円未満」の債権者の基準が問題となります。
ガイドラインの債務整理では、20万円未満の債権者は、対象債権者にならないという基準があります。
しかし、20 万円未満の債権者であっても、債権者間の合意があれば、対象債権者となれます。
20万円未満の少額債権者が多いような状態では、これらの債権者を債務整理ガイドラインの対象から外して、全額を弁済しなければならないとすると、対象債権者に対する弁済余力がなくなってしまうこともあります。
結局、問題解決になりません。
このような場合には、破産手続による回収の見込みを下回らないようにするという趣旨で、20万円未満の債権者も対象債権者にして、債務免除を受けるよう手続を進める方が良いでしょう。
調停条項に関する事前協議とは?
債務整理ガイドラインに基づく特定調停手続では、申立てにおいて、全ての対象債権者の同意か同意の見込みが必要されています。
そのため、いきなり特定調停を申し立てるのではなく、調停条項案を事前に対象債権者に提示し、事前協議をすることになります。
事前協議では、実質的に利害関係のある代位弁済前の保証会社や連帯債務者などにも参加してもらうことになるでしょう。そのような円滑に手続が進みます。
ただし、対象債権者以外の関係者に事前協議への参加を求めることになるので、全ての対象債権者の同意を得ておくことになります。
調停条項案の説明は、全ての対象債権者に対して行うとされています。
その方法については、対象債権者の数によっても違ってくるでしょう。
対象債権者が1社とか少数ならば面談や書面で良いと思われますが、多数いる場合には、書面説明で良いと同意している場合を除いて、債権者説明会等の開催をすることが考えられます。対象債権者が一堂に会する場を設ける方法です。
もちろん、全債権者が参加するとは限りませんが、参加できる場を設けておくという考えです。
調停条項案への同意や不同意はどのように出される?
対象債権者は調停条項案に対して、同意やその見込み、不同意の意見を表明することになります。
これは、調停条項案の説明を受けた後、1か月以内に、対象債務者、登録支援専門家に書面でするものとされます。
この1ヶ月以内という期間は、必要があるときには、対象債務者及び全ての対象債権者が合意することで、変更することはできます。
結局は、意見表明の結果については、登録支援専門家が取りまとめることになります。
その後、登録支援専門家から全対象債権者に通知することとなります。
調停条項案への同意の見込みとは?
対象債権者からの調停条項案への意見表明については、同意ではなく同意の見込みでも良いとされています。
しかし、書面で交付を受ける際に、同意の見込みとは一体何なのか疑問が出てきます。
金融機関等にもよりますが、債権者の最終決裁権限者の同意が得られる見込みなどと言われます。
これは、決裁が間に合わないパターンといえるでしょう。
また、調停条項案に、積極的に同意はしないが、敢えて反対しないという場合もありえます。調停成立というよりは、調停に代わる決定を希望するような場合です。
小規模個人再生における書面決議で、積極的な反対意見は出さないという貸金業者が多数であることから、そのような対応をする債権者が多いことも予想されます。
書面では、対象債権者がそのような状況にあることが記載されていることで良いとも言われています。
調停条項案に反対されたら?
被災者債務整理ガイドラインに基づく債務整理には強制力がありません。
小規模個人再生のような多数決とも違うため、同意しない債権者が出てくることはリスクとなります。
全対象債権者の同意や同意の見込みが得らられない、かつ調停条項案の変更などの協議をしても同意の見込みが得られないときは、特定調停の申立てができないことになります。
そのため、債務整理の手続は終了となります。
ただし、一定の場合には、同意を得られない債権者の債権額が少額であり、その債権者を除く調停条項案を作成しても債権者間の衡平を害さないような場合には、その債権者を除く調停条項案とすることも検討の余地があります。
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